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センター試験09 小説 [汗牛充棟]

昨年度まで、明治・大正の文豪クラスの作家作品が並んでいたのが、
今年度いきなり、昭和の文学になっていた。少なくとも今後2~3年はこの辺りの文学作品に
なるのだろうか。

09年センター試験の第2問の小説は、昭和30年代の大人世代の家族を描いた
加賀乙彦の『雨の庭』の一節だった。

加賀乙彦短篇小説全集〈3〉雨の庭 (1984年)

加賀乙彦短篇小説全集〈3〉雨の庭 (1984年)

今年のセンターは前年度平均点が高かったので、難化するのは目に見えていた。
設問内容はいいとして、文章量の多さには驚いた。小説も本文だけでA4にして5枚。
これは相当訓練(受験勉強)していないと、量の多さにまず辟易してしまいそうだ。
しかも、思春期の高校生には到底、理解できない老いた親と大人になった息子の心情なんて・・・
読書量というより、やはりそれなりの周到な準備たるものが必要だと感じた。
受験生は大変だっただろうなぁ・・・(-_-;)

さて。

出典作品の著者、加賀乙彦。
本好きでも知らない人が多いかもしれない。
彼は小説家であるだけでなく、精神科医でもある。
実はココがポイントなのかも。

いまや5人に一人が“うつ”になるといわれる世知辛い現代社会において、
俄然、表舞台に出ることが多くなった職業の一つだと思う。
こころの病にいまや鈍感な人はいないはずだ。その中にあっても加賀作品は盲点だったかも
しれない。とはいえ、そうした雰囲気は一切かもし出されていない、一般的な文芸作品である。

退職後、コネで再就職した閑職に慣れず、やっぱり辞めたいとこぼす父親を、老衰によるものとみなした
息子が隠居をすすめ、老夫婦の生活費をまかなうために長年住みなれた家を手放すことになった場面を、
息子である「彼」の視点から描いたものだ。

私くらいの年代になると、読後ため息がふっとこぼれそうな感慨を覚えそうだが(笑)、高校生や十代には
まだまだ遠いものがあるだろうなぁ。でも、語句の問題も結構ディープで、ちゃんと前後を読まないと、ひっ
かかそうである。

(ア) 無聊に耐えられなかった
(イ) 沽券にかかわる
(ウ) 後片付けのはかは行かず

ま、全部マークシートですが、だからってホイホイと答えられる語彙ではないですよね。
無聊なんて、普段使いじゃないし、イマドキちゃんたちが日常会話で「オレの沽券にかかわる!」なんて
ことはケンカしても言わないし、「はか」は「墓」と間違われそうだし。
ちなみに、「はか」とは古語「はかなし」の「はか」と同義。現代では「仕事がはかどる」の「はか」ね。
いずれにしても、チョーうざい語句ばかりである(笑)

でも、結局受験を契機にこうした難解語を覚える、知る訓練をすれば大丈夫なわけで。
そういう意味での難解さはここ数年、続いている傾向だ。でも、設問自体はいたってオーソドックス。
登場人物(特に主人公)の心情について問われるものがほとんどだ。

小説の読解問題は、基本的には傍線部分の前後10行以内に答えやそのヒントが隠されているものだ。
心情描写は、背景の様子や人物の行為だけでなく、形容詞や副詞、りっしんべんの付いた語句など
もポイントになる。

しかしながら社会背景が高度経済成長期のころ?なので、商習慣としてのリベートの話が臆面もなく
著されていたり、いまや反エコな焚き火の描写や、ましてベルリン五輪とか満鉄とかねぇ・・・
現代に見合わないものが多く登場している。

今の若者に迎合しない、というセンター試験側の意図があるのかしらん・・・
私が唯一、加賀乙彦について知っているのは、コレだけ。

生と死と文学

生と死と文学

  • 作者: 加賀 乙彦
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 1996/05
  • メディア: 単行本

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